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底堅い推移を見せる東京の不動産市場

日本は少子高齢化を背景にすでに人口減少社会になっており、地方部の「空き家問題」が報道される機会も増えました。

こうした観点から、「いま不動産投資を始めるのって、実際どうなの?」と疑問を抱く人がいるかも知れません。

しかし、投資対象となる不動産物件はあくまで個々に異なるものであり、その物件に影響を与えるのは、せいぜい半径数キロから10キロ程度の範囲内での経済や人の動きです。つまり、日本全体といったマクロな状況よりも、エリアごとのミクロな条件の方が重要であると言えます。

そう考えると、首都圏、とくに都心部の不動産は、今後も投資対象として魅力的であると考えられます。

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人口減により生まれる二極化

大都市圏と地方都市、あるいは三大都市圏の中でも、首都圏と近畿圏・中京圏との比較では、需要に明らかな差が生じており、今後もその違いは広がっていくことが予想されます。

まず、2019年に取引された首都圏の中古マンションの平均平米単価を比べると、

・東京都区部:79.5万円
・東京都:71.24万円
・首都圏全体:53.95万円 

首都圏全体と東京都区部でも約1.5倍の開きがあることが分かります。
(出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2019年・年度」) 

次に三大都市圏に視点を拡大し、首都圏とほかの2都市圏との違いを見てみます。

(出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2019年」、公益社団法人中部圏不動産流通機構「年刊市況レポート」、公益社団法人近畿圏不動産流通機構「2019年度年刊市況レポート」)

近畿圏の中古マンションの価格水準は首都圏の約6割、中部圏は約5割という状況ですが、約10年間の推移では、ほかのエリアに比べて首都圏の上昇率が高いことが分かります。

次に不動産投資の目的でもあるインカムゲインを見るため、エリア別に家賃相場を比較してみます。下の図は全国、および三大都市圏に含まれる都府県の平均家賃です。

(データ出典:総務省「平成 30 年住宅・土地統計調査」(賃料))

全国平均を大きく上回るのは東京都、次いで神奈川県であり、大阪府、兵庫県がほぼ平均値となっています。三大都市圏に含まれていながらも、大きなマイナスになるエリアもあることが分かります。

 東京都心部の状況と今後の予測

それでは、今後の賃貸需要はどうなっていくと予測すべきでしょうか。

賃貸需要は、基本的にそのエリアの人口や世帯数の動向に依存しています。それらが減少していけば、エリア全体の賃貸需要も減りますし、逆なら増えることになります。

東京の人口や世帯数は当面増加する

15年に実施した国勢調査により、日本は人口減社会に突入したことが確認されました。

しかし、東京都は地方からの流入により、現在でも人口が増え続けています。5年単位の人口推移予測を見ると、東京都全体では25年に、また東京区部では30年に人口のピークを迎えると予測されています。

やはり都心部においては、長期的に人口増加が続くということです。

さらに世帯数についても、15年に669万世帯であった東京都の世帯数は、30年には708万世帯まで増加してピークを迎えると予測されています。

一方、単独世帯の割合が増加するため、15年に1.99人だった一世帯あたりの平均世帯人数は、60年に1.89人になると見込まれています(東京都政策企画局「2060年までの東京の人口推移」)。

下図は、首都圏の各都県と全国の人口推移予測の比較です。

(出典:内閣官房内閣広報室「都道府県別将来推計人口」)

 全国の人口減少カーブ(右座標)と比較すると、首都圏の下降カーブ(左座標)は緩く、とくに東京都は減り方が少ないことが分かります。つまり日本全体としては人口減社会であっても、首都圏、とくに東京のポテンシャルは当面高いままだと言えそうです。

東京都心部における不動産投資の将来性

次に、首都圏の内部における不動産価格や売買件数などの指標を確認します。

下図は東日本レインズが公表したデータから、エリア別の2019年の中古マンション取引状況を表したものです。

 

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2019年/中古マンションの区市町村別成約状況[2019年度]」)

ほかのエリアと比べて、東京23区の件数・取扱金額が飛び抜けていることが分かります。東京23区の売買件数が首都圏全体の4割を超えている状況には驚きです。

「パワーカップル」など高所得層が増加

東京都心部のポテンシャルの高さは、居住する人たちの所得の高さにも影響します。

ニッセイ基礎研究所「パワーカップル」世帯の動向』によると、日本の総世帯約5,000万世帯の平均所得は約546万円。共働き世帯は約1,400万世帯あり、このうち夫婦ともに年収700万円超のいわゆる「パワーカップル」と呼ばれる世帯は、約25万世帯と推定されています。

パワーカップルは、結婚と同時に都心部で利便性が高い駅近のエリアに居住することを好むことから、こういった層の増加も都心部の不動産需要が底堅く推移する要因の1つと考えられます。

まとめ

不動産投資では、物件やエリアを個別に見ることがポイントです。

ここまで述べてきた通り、都心部での売買・賃貸需要は、日本全体の人口減少や家余りといった事態にはさほど影響を受けず、当面底堅い動きが続くと推測されているのです。

高い資産価値を保持しながら、安全性や確実性を重視した不動産投資を望むのであれば、都心部の物件は有力な候補になると言えるでしょう。


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