マネー

医師の不動産投資 失敗を避けるポイントは?

不動産投資をしている医師は少なくありません。その理由は、医師のような忙しい職業と不動産投資は比較的相性が良いためです。この記事ではまず、不動産投資のどのような点が医師に適しているのかを見ていきます。

また、いくら相性が良いと言っても、投資である以上リスクを避けては通れません。よく考えずに不動産投資に取り組めば損失を被ることもあります。そこで、失敗を避けるコツや投資する際の注意点についても解説します。

不動産投資と融資は切っても切れない関係

不動産投資は、賃貸用住宅やマンションなどの不動産を購入して、人に貸すことで賃料収入を得る投資です。

場合によっては、買った価格よりも高い価格で不動産が売れて、売却益が得られることもありますが、現在の日本の不動産市況ではそれは例外。基本は長い時間をかけて家賃収入で投資資金を回収していくものです。

また、不動産は高額であるため、一般的には金融機関から融資を受けて購入します。この融資は居住用の住居を購入する際に使われる住宅ローンではなく、アパートローンといった名称の事業用融資になります。

投資物件の価格に対して、高い割合、かつ低い金利で融資を受けられれば、拠出する自己資金が少なくて済むため自己資金に対して効率的な投資が可能になります。この考え方を「レバレッジ効果」と呼ぶこともあります。

「属性」の高い医師は融資審査に通りやすい

金融機関は「属性」という言葉で融資対象となる人の信用状況などを表すことがあります。

医師という職業は一般的に収入が高く、また社会的信頼性も高いため、金融機関からの信用を得やすい職業です。数ある職業の中でも医師の属性の高さはトップクラスなのです。

そのため医師が融資を受ける際には、比較的簡単に審査に通ります。金融機関の融資姿勢は、その時々の金融情勢によって異なりますが、融資姿勢が渋いときには、一般の会社員だとなかなか融資が下りないということがあります。そんなときでも、物件を買うのが属性の高い医師であれば、融資は下りやすいということです。

融資と不可分の不動産投資において、「医師」の属性の高さが非常に有利に働くことが、医師が不動産投資に向いている第1の理由です。

有利な借り入れでキャッシュフローが改善する

不動産投資では、金融機関から受ける融資の条件も大事な要素の1つです。

不動産投資向けの融資審査は、貸付先である借主(個人)に対する評価と、投資物件の評価の両方から行われます。同じ物件であれば、貸主個人の属性が高いほど、融資の条件が良くなります。具体的に言えば、物件価格に対して多くの割合の融資が受けられ、かつ、低金利や長期の返済期間での融資が受けられるということです。

先に書いたように、多くの融資を受けられれば、自己資金の拠出が少なくて済むため投資効率が高まります。また低利・長期で借入ができれば、その分月々の元利払い金額が少なくて済むため、キャッシュフローが良くなります。

キャッシュフローが良くなるということは、投資を拡大しやすいということです。

税金対策につながる

医師は比較的高収入な職業ですが、その分、所得税額も高くなります。所得税は累進課税のため収入が高ければ高いほど税率も高くなり、負担感が大きくなります。

不動産投資を活用すれば、税金対策を行いながら資産を形成することが可能です。

具体的には、医師の報酬として受け取る給与所得(勤務医)または事業所得(開業医)から、不動産投資で発生した損失(赤字)を損益通算することで、課税所得額を減らし、課税額を軽減できるということです。

なぜ不動産投資で赤字が生じるかというと、減価償却という仕組みが大きく関係しています。

記事の趣旨から外れるので詳細な説明は省きますが、不動産投資では「減価償却費」という現金支出のない費用を計上することで、キャッシュフローではプラスになりながら、税金計算上の利益はマイナス(赤字)になることがあります。これが不動産投資による税金対策です。

仕事が多忙でも安定的に運用することが可能

医師の仕事は忙しく、かつ休日でも最新の医療知識を得るための勉強も欠かせません。とくに若い研修医やキャリアの浅い勤務医はいろいろな仕事が発生するため非常に多忙になります。

そのため同じ投資でも、例えば株式投資は少しやりにくいかも知れません。なぜなら、常に株価をチェックしたり企業業績の勉強をしたりしなければならないためです。その点不動産投資は、物件購入後は不動産管理会社を活用することでまったく手間を掛けずに安定的な運用が可能です。これも不動産投資が医師に向いている理由の1つです。

最近ではコロナ禍の影響で病院間の収益格差が広がり、「看護師への賞与が支払えない」というニュースも話題になりました。

このように医療環境が激変する中、医師であっても将来にわたって安定した高収入が得られる保証はありません。不動産は数十年にわたる長期間、収益を得られることも特徴です。余裕があるうちに不動産投資をしておくことで、将来への備えになるでしょう。

医師の不動産投資で失敗しないコツ

医師と不動産投資の相性が良くても、「実際にやってみると失敗してしまった」という事例は少なくはありません。以下では、医師が不動産投資で失敗するリスクを下げるコツについて解説します。

①信頼できる業者を選択する

不動産投資で失敗しないためには、まず信頼できる不動産業者と付き合う必要があります。

先にも述べた通り、医師は本業が多忙なため不動産投資について詳しく勉強したり情報収集を行ったり、収支の計算をしたり、最終的に不動産をどうするのか=出口戦略を想定したりなどということを、じっくり研究する時間がなかなか取れないでしょう。

そのため実際に不動産投資を始めても業者に任せきりで、結果的に利益には結びついていないケースが多いのが現状です。

そこで、信頼できる不動産業者を選ぶことが重要になります。医師としての人生設計を加味した上で、それに適した投資戦略を臨機応変に提案してくれる業者を選ぶようにしましょう。こちらの都合も聞かずに強引な営業をかけてきて、闇雲に物件を薦めるような業者は避けるのが無難です。

将来のライフイベントを見据えて投資を行う

不動産投資は基本的には長い時間をかけて、賃料で投資資金を回収していく点が特徴です。しかしその欠点として、現金化しにくいということが挙げられます。

そのため、不動産を購入するときは目先のことだけではなく、自身の将来設計において多額の現金が必要となるイベントを事前に想定しておく必要があります。例えば、将来的に勤務医から開業医に転身する、子供を医大に進学させる・・・などといったことを考えるなら、その時点で相応の資金を用意しなければなりません。

もし「現金が足りない」事態になっても、不動産は急には現金化できません。将来のライフイベントを見据えた上で投資を行うことが肝要です。

手間のかからない物件を購入する

不動産投資にも様々な種類があります。資金に余裕があれば、アパートやマンションを一棟丸々購入することも可能でしょう。しかし一棟物件は、共用部分も含めてすべての日常管理が必要で、さらに大規模修繕の計画も必要です。また、戸数が多ければ出入りの頻度も高くなり、いわゆる「入居付け」の心配も増えます。

とくに中古の一棟物件となると、管理の手間が格段に増えます。ある程度までは管理会社に任せることもできますが、例えば修繕や集客の方針に関してはオーナーが判断しなければなりません。

こういった物件は、忙しい人にはあまり向いていません。少なくとも最初に買うのは考えた方がいいでしょう。

最初は需要が安定している都市部のワンルームマンションや新築のタワーマンションなど、多少利回りは低くても、手間がかからない物件がオススメです。

まとめ

コロナ禍がいまだ終息の気配を見せない中、不動産投資にネガティブな見方をしている方もいるかも知れません。

たしかに商業物件やオフィス物件については、先行きに不安な部分もあります。しかし住宅は、「ステイホーム」が推進されるいまだからこそ、むしろその価値は上がっていくとも考えられます。もちろん、エリアや物件の特徴を見極める必要はありますが、基本的にはネガティブな投資対象ではないと思われます。

医師と相性の良い不動産投資に早いうちから取り組んでおけば、今後の長い人生の中で「あのときに不動産を買っておいて良かった」と思えるときが来るかも知れません。

RECOMMEND おすすめの記事

記事をもっと見る