同じ研修医であっても、勤め先の地域や病院によって収入に大きな差が付くことがあります。その差は年月とともに開き、ひいては貯蓄格差にもつながります。この差を埋めることはできないものでしょうか。
その解決策となり得るものが、お金を雪だるま式に増やしていける「複利運用」です。
この記事では、複利運用の威力を最大化する「長期」「分散」「積立」についても解説します。
運用期間が長いほど威力を発揮する「複利運用」
まずはじめに、「単利」と「複利」という利息の付き方の種類を見ていきます。
単利とは「預けた元本のみ」に利息が付くもの。例えば100万円を年利3%で預けた場合、1年で3万円、2年で6万円、3年で9万円・・・と、毎年同じ額の利息が付きます。1年で3万円ですから、10年では30万円ということです。
一方、複利の場合は「元本と利息」の合計に利息が付きます。
同じく100万円を年利3%で預けた場合、1年目は単利同様3万円の利息ですが、2年目は103万円に対して利息が付くため6.09万円、3年目は9.27万円と、単利よりも速く増えていきます。手元資金の100万円は10年後に134.39 万円となり、単利よりも約4万円多く利息が付くのです。
それでは、どのような商品で複利運用ができるのでしょう。多くの人が銀行の定期預金等の預金や国債などを思い浮かべるのではないでしょうか。それらもたしかに複利(定期預金には単利のものもあり)ではありますが、現在のような超低金利下では、効率的とは言えません。
定期預金で元本が2倍になるのは3万6,000年後
複利運用について考えるとき、よく「72の法則」という考え方を用います。
この法則は、元本が2倍になるまでの年数を「72÷金利」で導き出せるというもの。まずはこれを、銀行の利息に当てはめてみます。
預金の中では比較的金利が高い定期預金でも、現在の金利は約0.002%(令和2年9月現在)。式に当てはめてみると、「72÷0.002(%)=3万6,000年」。生きている間に元本を2倍にするのは不可能であることが分かります。国債の金利0.05%でも1,440年かかりますから、効率は良くありません。
では、同じく複利で運用できる投資信託はどうでしょうか。
仮に年間3%の運用益が出るような商品だとすると、「72÷3(%)=24年」。預金よりもはるかに短い期間で増えることが分かります。運用益には日々波がありますが、3%というのは現実的な数字です。
ただ一口に投資信託と言っても、日経平均やTOPIXといった株価指数等の指標に連動することを目標にした「インデックスファンド」や、その指標を上回ることを目標とした「アクティブファンド」など、さまざまな種類があります。
まったくの初心者は商品選びに苦労するでしょうが、まずは「インデックスファンド」をオススメします。インデックスファンドは値動きが分かりやすいですし、数千円程度の少額から積立投資ができるためです。その上、低コストであることにも注目です。手数料や信託報酬など、投資信託の保有のかかるコストは、投資期間が長くなるほど大きな差が付くポイントですから、注視するようにしましょう。
経済ショックにも対応できる「長期」「分散」「積立」
ここで、この投資の原則である「長期」「分散」「積立」についても解説します。
「長期」は文字通り投資期間のこと。複利は前述のように、時間が経過すればするほど有利です。つまり、時間を味方に付けるということです。
「分散」は国内外の株式や債券などの投資対象(資産・銘柄)、地域(国)や通貨を分散することです。異なる値動きをするものに分散して投資をし、価格変動リスク(不確実性)の軽減を狙います。
「積立」は、購入のタイミングを分けることを目的とします。投資信託の価格は「基準価額」といい、1日に1度決まります。1つの投資信託には株や債券など数百から数千の銘柄が含まれており、それらの時価評価や利息、コストなどにより、日々変動しています。購入タイミングを分けて機械的に一定額を購入し続けると、価格が高いときは購入口数を抑え、反対に安いときは多く購入することになり、長い目で見れば購入価格が平均化されます。
「長期」「分散」「積立」をコツコツ続ければ、複利の恩恵を受けながらも株価の乱高下や数年に一度起こる経済ショックにも対応できるため、この原則は覚えておくようにしてください。
まとめ
「投資は怖い」「ギャンブルだ」と考える人が少なくないようですが、方法次第では収入や貯蓄の格差を埋めることができるほどのインパクトを持ちます。もちろん、元本は保証されませんから、損をする可能性はゼロではありません。しかし、そのリスクをカバーできるほど、複利の効果は大きいものなのです。
働く環境による給料格差が気になるのであれば、ぜひ、できるだけ早い時期に複利運用を始めましょう。20~30年後には、格差を逆転できるほどの資産を構築できているかも知れません。
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