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研修医を誘うセールストークを検証する

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研修医として給料を得るようになると、方々から株式投資や生命保険の勧誘が舞い込むようになります。そして、営業マン(ウーマン)は他愛ない会話の中からあなたの収入や家族構成、経済状況を読み取り、巧みなセールストークで様々な資産運用商品を薦めてくるのです。

そんなとき、内容をよく理解しないまま契約してしまうリスクを避けるためには、投資や税金に関する予備知識が欠かせません。ここでは、代表的なセールストーク4パターンを紹介し、それぞれについて注意点を解説します。

①デメリットは伝えず「節税ができます」

万一の病気やケガに備える生命保険や「自分年金」と呼ばれるiDeCo(個人型確定拠出年金)には、たしかに所得税などの控除を受けられるメリットがあります。その一方で、以下のような縛りがあることも覚えておかなくてはなりません。

生命保険の控除額には上限あり

企業の年末調整等の際に申告すれば、所得税と住民税の控除が受けられます。ただし、それぞれ控除額の上限が定められています。生命保険料控除額は所得税で最大12万円(生命保険料控除改正前の旧契約の場合は10万円)まで、住民税は最大7万円までとなっており、控除額以上の保険料については節税効果がありません。

60歳になるまで引き出せないiDeCo

月々定額掛金を積み立てることで公的年金の補填資産にできるiDeCoは、掛金全額が所得税控除されるほか、資産運用中の運用益も非課税になります。しかし、公的年金同様に支払い開始時期が決まっており、加入者が60歳になるまで掛金を引き出せません。また別途、国民年金基金連合会や運営管理機関に支払う手数料がかかります。

②「〇〇円から始められます」で投資へのハードルを下げる

「共同出資なので11万円から投資家になれます」「ショッピングで貯まったポイントで株式を購入できます」と、投資への心理的ハードルを下げる勧誘も少なくありません。「失敗しても痛手のない少額なら、やってみてもいいかな」と、こうした共同出資型投資やポイント投資にチャレンジする人も多いはずです。しかし、これらにもセールストークには出てこないデメリットが潜んでいます。

共同出資型投資の注意点

複数の購入者が同一資産を運営しているという安心感はありますが、収益が赤字に転じたときは出資者全員で負債を分担しなければなりません。また、その資産の所有権は運営会社にあるため、万一運営会社が破綻した場合、共同出資者の掛金の保証はされません。

毎月手数料が差し引かれるポイント投資

まずは1口(500円程度)から始めたとしても、毎月定額の手数料が差し引かれるため、株価が横バイまたは下落した場合には、たくさん貯まっていたはずのポイントがいつの間にかなくなっている・・・ということが起こり得ます。

③どんな状況でも「いまが絶好のタイミングです」

どんな時期にも必ず出てくるセールストークです。いまなら、「コロナ禍のいまが買い時です。こういった景気低迷の後に株価は高騰するものです」と提案されるでしょう。

たしかに2000年の「IT不況」、2009年の「リーマン・ショック」時の景気動向を見ると、いずれも4年前後には回復・上昇に転じています。しかし驚くのは2016年の「トランプ・ショック」。同年11月にあったアメリカ大統領選挙で、誰もが予想しなかったトランプ氏優勢の一報に、株価や原油価格が下落。為替相場も乱高下したにもかかわらず、トランプ氏の勝利が確定した途端に株価が高騰し、アメリカ経済はV字回復を果たしたのです。

ここで注目したいのは、景気はいずれ回復するという事実だけでなく、回復時期がケースによって大幅に異なる、すなわち「読めない」ということです。IT不況やリーマン・ショックでは緩やかな回復でしたが、トランプ・ショックではたった数日の出来事です。トレンドの読み分けをするには、株式投資でキャリアを積む必要があります。

④「このままでは老後に苦労します」と不安を煽る

老後を貯蓄に頼るにしても、普通預金1年間の利子は100万円で10円程度、定期預金も年利0.2%程度という状況です。公的年金もまた、現役世代の20代・30代が受給できる頃には月額15万円程度まで減額されていると予想され、期待できません。そんな不安や危機感を煽るセールストークで、株式投資などに勧誘されるケースもあります。「早い時期から投資をはじめなければ老後生活の破綻、ひいては家族も巻き込むことになるので、早急な判断を」と営業マンに煽られるでしょう。

しかし、株式投資は元本割れのリスクもあり、失敗すればいまの穏やかな生活がひっ迫してしまう危険性もあります。子供が小さければ学資保険や家族それぞれの生命保険加入の方が先決かもしれません。貯蓄や投資への一点張りでなく、リスク分散を考えながら貴重な資産を運用していきましょう。

まとめ

一つひとつのセールストークにウソはありません。節税によって日々の暮らしにゆとりができることは事実ですし、公的年金に頼らず生きていけるよう、若いうちから老後の貯えについて考えることも大切です。

しかし、税控除額の上限や掛金元本割れのリスクが伴うなどの知識がなく、過大な期待を抱えたまま契約してしまうと、後で必ず後悔します。セールストークは良い話ばかりでウンザリしますが、その中には今の自分に有益な情報もあるかも知れません。真に必要な商品を見極めるため、予備知識を蓄えることが賢明です。


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