マネー

冬のボーナスで投資家デビューするなら・・・

2020年も終盤となり、冬のボーナスの時期が近付いてきました。

「今年は新型コロナウイルスの影響でボーナスが支給されない」あるいは「減額になりそう」 との声も聞こえていますが、もし支給されたらどんなことに使いますか? 

研修医のうちは、医療知識を身に付けることに多くのお金がかかるため、あまり預貯金や投資には回せないかも知れません。一方で、ボーナスをきっかけに投資などを始めたいと考えている人もいるでしょう。

今回は、ボーナスなどのまとまった臨時収入があったときに、どのように資産形成を始めればいいのか考えていきましょう。

投資勉強会 開催中! 詳細はこちら


20~30代の人は、ボーナスをどう使う?

職業を問わず、20~30代の人はボーナスをどのように使っているのでしょうか。

ニッセイ インターネットアンケートが調査した2020年夏のボーナスに関する調査によると、半数以上の人がボーナスを貯蓄や資産形成に回しているそうです(20代で58.8%、30代で65.0%)。

皆さん、将来のためにお金を貯めたいと思っているのでしょう。または「何かあったときの備えに」「収入がなかなか増えない」「年金がどのくらいもらえるかも分からない」などという漠然とした不安を抱いているのかも知れません。

貯蓄・資産形成以外の使い道を見ると、1位は生活費の補てん (28.1%)、2位が買い物(14.6%)、3位が国内旅行(7.8%)、4位がローンの返済(6.4%)、5位が近場のレジャー(5.3%)でした。

ボーナスで投資するのはあり?

「ボーナスをきっかけに投資を始めよう」

ボーナスの時期にはこのように考える人が多くなります。決して間違いではありませんが、注意したいことがあります。それは、万が一のときの生活を守ための資金があるか、ということです。手元に十分な現金がないときに万が一のことが起こると、金融商品を手放さなくてはならず、評価額によっては損失が出てしまうため注意が必要です。

まずは、自分は投資を始めるための準備ができているかを確認しましょう。これはボーナスを元手に投資をしようと考えている場合も同じです。普段から支出が収入を上回っている人は、家計簿を付けるなどして全体像を把握し、支出を抑える方法を探る必要があります。

ところで、生活防衛資金はいくらあれば「十分」と言えるのでしょうか。

安心できる基準は人それぞれですが、毎月の生活費の7.5カ月分から1年分以上あれば安心です。資産は「使う」「貯める」「増やす」の順に作るもので、投資を始めるには「貯める」ステップまでできている必要があります。

「使う」は、生活に使う貯金です。月の生活費の1.5カ月分が目安です。0.5カ月分が余計にありますが、これは貯金を切り崩さなくても生活ができるよう、イレギュラーな支出に対応するバッファ部分です。

「貯める」は、生活防衛資金となる貯金です。6カ月から1年分を目標としましょう。このほか車を購入したり、海外留学したりするのであれば、別に貯めておく必要があるでしょう。

これができてから、ようやく「増やす」ステップに入ります。これは、長期的に使わないお金を入れておくもので、運用などをしてもいいお金となります。投資を始めるよりも、貯金を作ることが先決です。

収支を整え、毎月余剰金がきちんと出せるようになれば、貯金と並走して3,000円程度の少額から投資を始めましょう。投資はまとまったお金を投じるよりも、少額からコツコツと投じていく方が、失敗が少ないのです。

長期分散投資のススメ

初心者には、一度に多額を投じる投資はオススメしません。

投資といえば、ある企業の株を買う「個別株」への投資をイメージする人が多いと思いますが、選択肢はほかにもあります。初心者は、1つの企業に集中投資をするのではなく、複数の対象に投資できる商品から始めましょう。

それが実現できる投資商品の代表格が「投資信託」です。

投資信託は1つの銘柄が数百から数千の投資対象を含んでおり、例え一社の株価が下がっても、ほかの銘柄が値下がり分をカバーしてくれるため、値動きを小さく抑えられるのです。

この値動き、価格の振れ幅を「リスク」と言います。

リスクを低く抑えるためには投資信託を活用した分散投資が有効ですが、投資商品の価格は日々変動します。しかし、月に一度など定期的に定額の購入を続ければ、このような価格の変動を平均化できます。

一方で、個別株の1銘柄だけに投資すると株価の振れ幅が大きく、大きな利益を出せることもあれば、大きな損失を出してしまう場合もあります。すると「損をするかも知れない」という不安が大きくなり、株価が気になって仕事が手に付かなくなってしまうかも知れません。医療知識の吸収に集中すべき研修医にとっては、こうした不安はできるだけ取り除きたいものです。

初心者に向いているリスクの低い投資を、長期積立分散投資と言います。

もう少し詳しく、長期、分散、積立について知っておきましょう。「長期」では複利の恩恵を受けられます。この複利とは、元本に付いた利息が再び元本に組み込まれ、さらに利息が付く仕組みです。つまり投資期間が長ければ長いほど、お金が増えやすくなります。

「積立」は、定期的に定額で投資を行うことで、価格が高いときは購入口数を少なく、価格が安いときは購入数口数を多くでき、購入単価を平準化させられます。また、個別株への投資とは違い、積み立てなら数千円の少額から始められることも大きなメリットです。

そして「分散」は、国内外の株、債券といった投資対象(資産・銘柄)、地域(国)や通貨を分散し、価格変動のリスクを軽減し、安定的な運用をねらうことです。

まとめ

ボーナスでまとまったお金を手にし、投資を始めようと思っても、多額をまとめて投資しようと考えるべきではありません。

個別株などへの集中投資はリスクが高く、初心者には向かないためです。

投資を始めるのなら、ボーナスは万が一のときに備えて手元に残しつつ、少額から長期的に分散・積立投資を始めましょう。そして、毎月の収支を整えながら積み立てる金額を増やしていくのがオススメです。

RECOMMEND おすすめの記事

記事をもっと見る